まずは4/12発売の「白いトロイカ」の1〜2巻
2巻目には私も解説を書かせて頂きました(^▽^)/。美どり〜む先生もどの作品かに
解説参加なさっています。もちろん和田氏も数々の漫画家達の女神に等しい先生の
素晴らしい作品達を、このチャンスにゲットしましょう↓
水野先生の世界に入った日(2巻目には私も解説参加)
最初の出会いは、多分「銀のはなびら」で、私は限りなく幼い子供でした。
特別な漫画であった手塚作品を始めとする、同系列の絵柄から発展した超好みの絵で、
(子供にとって、トキワ荘の皆様の作品は手塚一族の作品群のように見えていました)
しかし、好きで読んでいた男性漫画家さんたちの描かれる少女漫画と、
水野先生の「銀のはなびら」は、何か言葉にならない決定的な違いがありました。
コマから押し寄せる情感。意味も解らず圧倒され、ドキドキしました。
何がどう、他の漫画と違うのか…。おそらくは浪漫の匂い。恋に発展しうる情念の内在。
ヒロインとヒーローは兄妹のはずなのに、ラプロマンスの香りがありました。
不思議だ…とは、実際に兄を持っていた、私が抱いた疑問でもありました。
今思うに、限りなく恋愛に近い親愛の感覚は、当時、ぎりぎりのチャレンジではなかったかと、
勝手に推察しています。物語のおしまいに至る頃には、「実際に彼らは…で」ありましたし。
水野英子という御名前が、私にとって特別のものになるのは「星のたてごと」との出会いでした。
幼すぎた身の上では、記憶は飛び飛びの上に曖昧で、ただただ「世にも美しい作品があった」という
大げさに言えば、神話に近い思い出として。
例えば、最後の二人が乗った船のコマは一頁サイズの大ゴマで記憶されていたりするのですが、
後日コミックスで読んで、コマのサイズの小ささに仰天しました。
実際のサイズはどうだったのでしょう?今も気になる所なのです。あれは単なる、子供の目の
クローズアップ力による記憶の違いなのでしょうか???未だに不思議でたまりません。
小学校の5〜6年時に、週間マーガレットに連載された「白いトロイカ」は、私にとって
今も最高の少女漫画です。いや、あの作品は完璧です。あれをリアルタイムに読ませて頂いた
というのは私にとって至上の幸運の一つだと思っています。
2002年現在も、多分おそらく、こういうものを常時、多くの少女達は欲していると思います。
水野先生の白いトロイカが私を少女漫画家への道に向かわせました。
そして遡って「星のたてごと」がファンタジーへの入り口になったのだと思っています。
「ファイアー」での魂の声の表現者の道、ローヌ・ジュレェの瞳の奥の凍結した虚無の体感など
書き始めたらきりがない程の沢山の道標を先生からいただいています。
映画「ロード・オブ・ザ・リングス」の原作であるJ.R.R.トールキンの「指輪物語」が
FTのバイブルであるなら、水野先生の作品は浪漫物語のバイブルであると断言できます。
今回の出版の機会に、一人でも多くの人が、この素晴らしい作品世界を旅して下さいますよう。
だって、私達の目の前にあるのは、竜の守っている宝石の山に匹敵するのですから。
中山星香拝